ニュージーランドに来てから5ヶ月、働き始めてから今日で4ヶ月が経ちましたがようやくニュージーランドでソフトウェアエンジニアとして正社員採用をもらったので区切りとして自分の中にある感情を記録しておこうと思います。職場での英語に関することや日本と比べた労働環境、ソフトウェアエンジニアの場合とかについてです。
おそらく海外に移住してくるみなさんも同じような感覚を持つのではないかな、と思います。これから海外に移住してきたい!という方がそれぞれどういう状態になった上で海外に出れば良いのか、最初らへんはどんな感じなのかとかの参考になるかもしれません。
あくまで私の場合、私の環境は、ということで...
先にありきたりな結論だけ書いておくと、結局は自分がどうなりたいか次第で大事なことの重みは変わるので唯一の答えはないのですが、ニュージーランドみたいな英語圏でそれなりの生活をしながら働きたい、というのであれば、私個人は「英語(言語)は死ぬほど大事だから来るまでにマジで勉強した方が良い。時間取れなくても、リスニングとスピーキングはマジでやっとけ!」と回答します。(私がやっていなかったからというだけかもしれませんが。)
ブーメランを恐れずに言うと、日本で働いていようと人種がどうであれ、日本語力(言語力)がない人と働くのは辛い...ってなると思います。
前提:ざっくり私の背景
日本で5年半、ITエンジニアで会社員として勤務をしていた。外資ではなかったので英語を仕事で使ったことは一切ない。
学生時代(ニュージーランドに行く7年前)に語学留学を1年弱していたので英語に関しては中級くらいはある。(IELTS受けたことないですが、overall6.0~6.5の間くらい)
ニュージーランド勤務①:慣れない英語
※人とのコミュニケーションに絞って、主にリスニングやスピーキング重視の話になります。
※困りごとや大変なことを書いていますが、何に対する困りごとかというと、「会社が顧客に適切なサービスを素早く提供する」ことに対して、日本での環境と比べた時に自分の能力が最大限発揮できていない場合は困った、大変だ、ということにしています。
まず、私みたいな英語嫌いが一番心配するところは「英語できなくても働けるのか?働いていたらどれだけ伸びるのか?」という点かと思います。人と接する量などに比例することは言うまでもないですが、私の場合は、ぎり働けていると言ってよくて、英語力は伸びてないことはないが必要レベルには到底達していないという感じです。
私の場合ですが、平均すると、同僚が話すアルファベット的な英語の"言葉、文章"はほぼわかっていません。これは誇張なしです。お恥ずかしい話、会話の10~20%わかっているかも怪しいです。平均すると、と書いたのは、自分のタスクそのものの会話をされたときは死にものぐるいで聞くしかないのでそこで50%くらい英語を理解する、という感じです。あとは、自分が経験してきたこと(例えば、技術的な話とか)が会話になっていれば50%くらい理解しているつもりになれるといった感じです。その他の、自分に直接的に関係もないタスクに関する議論、全体会議などはほぼほぼ聞けていないので内容もわかっていません。(これは会社が開発するプロダクトのドメイン知識やクライアントの情報がまだ乏しいというのも影響しているとおもいます。)あとは、同僚の普段の雑談とかも基本理解できていないです。私の場合、聞き取れる量が極端に少ないので、話せる内容も絞られます。その絞られた内容に関しては別に難しい英語を使う必要はないので回答みたいなものは返すことができますが結局は雰囲気で会話している感じです。そのため、どうしても業務中に積極的に会話に入っていくのが難しく、わからないことがある場合はチャットでやり取りして文字に起こしてもらうという行動を取るしかありません。(言い訳ですが。)
英語に関しては、我々日本人が習う英語の教科書のリスニング教材みたいなきれいな英語、発音はあんまり使われていないのではないかと思っています。少なくとも発音とかはそうです。ニュージーランドの場合はeがiの発音になるとか(母音消してんじゃねぇよ)つまずくポイントも多いです。私が属する会社は多国籍なのでさらに発音に幅があります。他にもそもそも英語の表現が日本語の表現と違うことも多いので、仮に英語がアルファベットとして聞き取れても意味的に何が言いたのかがわからないことも多いです。(例えば、what we are after.とか)
「お前、それ仕事できないんじゃね?」と思う方もいると思います。
はい。発せられた言葉としての英語しか理解できない状態だったら仕事できませんw。ただ、英語のアルファベット的な量の理解がそのまま会話の意味、内容の理解になるかというと多分そうではありません。私の場合は後者をよくわからない謎のポテンシャルでこなして?います。(と勝手に思っています...笑)
その場の雰囲気から「この人たちは多分今こういう話をしていているのでは?自分に求められているのはこういうことなのでは?...ならとりあえず、ここの部分だけ理解しておけばいいんじゃないか?」などをうまく吸い取る、もしくは想像、推測、判断する能力です。私の職業での話だと、「この条件でアプリケーションがクラッシュする(ぶっ壊れる)のね。でも原因がわかってないから特定して対処しないといけないのね?」とか「タスクの進捗が悪いのね。いついつまでに完成させないといけないのね。」みたいなことを10~20%聞き取れた英語から推測して当てている感覚です。これらの最重要項目の内容さえ理解できれば、あとは自分でチャットしたり、専門的なスキル等を駆使したりして解決すれば良いので全く当てが外れたことをしていた...いうのはなかったはずです。多分これは私だけではないはずで、人間の能力ってすごいな、と思います。
ただもちろんですが、この読み取り能力は超能力では無いので限界があります。つまり、理解していない部分のせいで結構遠回りをしていたり、誤解していたりすることもあるということです。こんな感じで今のところ来ています。この辺の能力・感覚をどうやって磨けるのかはわからないですが、あまりピンとこない方は練習してみるといいのかな?伸びるかわかりませんが...
そんなに英語がわかっていないならどうするのか?
わかったふり一択です笑。核になる部分すらわからなかった時はさすがに聞き直すしかないですが、それ以外を毎回全部理解しようと何回も聞き直していたら、多分嫌われますw。あと、英語できないからの言い訳ですが、全部理解する必要もないと開き直っています。なんでかというと、ネイティブレベルな人でも、内容は100%理解していると思いますが、それをちゃんと覚えていて、かつ全部実践してくる人などそんないないはずだからです。それができる人はガチ優秀な人ですが、まだそこは目指せなくてもいいか、という気持ちでいます。まずは一番大事なところだけ、それで良いはずだと。
こんな感じで日本と違って求められる完璧さのハードルは低いのではないかな、と感じています。もちろん、全ての会社に当てはまる訳ではないですが、顧客に不都合があっても顧客自体もそこまで怒り狂うとか、何がなんでも今すぐに解決しろとかが飛んでくることも多くないように感じますし、会社内でも日本レベルの完璧にやってくれ、の圧はない感じです。
私が今いるニュージーランドの会社では割り当てられた時点でのタスクはものすごく抽象的です。なので、話し言葉で聞く内容というのはそこまで深い話にはなっていません。あとはチャットで詳細詰める、というやり方をとっているので良くも悪くも日本レベルで仕上げる必要もなく、ギリギリタスクをこなしている感じです。
私の場合は職種、現ポジションが、英語(話す、聞く)を頻繁に使うというものではなく、求められる質がめちゃくちゃ高い訳でもないので業務が全くできないということはなく助かってはいます。今はチャット文化なので話す量がそこまでないですし、極度に複雑なことを口で説明する機会も今はないので、必要なときはわかる単語や表現を使ってなんとか考えを伝えて成り立っています。少しずつ人との会話コミュニケーションを取る必要がある業務が任されるようになり焦っていますが...
なので、仕事はできていなくはないですが、自分の実力を出しきれてはいません。これは英語力と自分の性格が原因だと思います。そこにもどかしさはありますね。
英語力は伸びたか?
総合的に4ヶ月で英語力が全く伸びていないかというとそういうことはなさそうで、英語の勉強をしなくても多少は自然と伸びている気はしますが劇的に伸びたような感覚はなくてまだまだ全く歯が立たない状態です。英語力の伸びはどれだけ使うか、だけなので、個人の勉強の努力や行動力次第で変わる、ということになります。私みたいにサボっている人は伸びにくいです。(海外移住は早い方が良い、という言葉をよく聞きますが英語力の観点に重きを置くなら確かにそれは一理あるな、と思います。ただ早く来ればその分専門スキルが高くないこともあるわけでそれが仕事や給料や普段の生活の質に影響を与えることもあるので私個人は海外移住は早けりゃいいと言うことに対して簡単に賛成はできないです。)
リーディングやライティングに関することはどうでしょうか?
個人的にはですが、仕事をするにあたってリーディング(文字を理解すること)は難しいと感じる場面が多いです。新聞記事やニュースのような洗練された社内ドキュメントの理解ではなく、人間がパッと思いついたことをカジュアルに記載したチャットの理解が難しいです。チャット内での文章は文法が崩れている(教科書チックではない)のでそれに慣れないと、何を言っているのか、言葉をどこで区切って解釈すれば良いのかが分からなくなります。あとは上でも話しましたが、物事の表現方法が日本語と違うのでそれを理解できないことが障害になります。崩れているとChatGPTが正しく訳してくれないことがあるので「あぁ...」ってなって読むのを諦めます。これに対する理解力を上げるにはいろんな会話を見てみるしかないんですかねー。(感覚的には、日本語の方が同僚とのチャットでも綺麗な文章率は高い気がします。何をもって綺麗かというのは個人の感覚になりますが...)
ライティング(チャットなど)でのコミュニケーションで困ったことはありません。結論、困ったときはChatGPTも使えるし、会話ほどのリアルタイム性もそこまで必要になることがないためです。ただし、文章作成時に時間がかかるのが辛いところです。(おそらく)チャットするときは頭の中は英語になっていますが、表現方法に困ると日本語に切り替わっています。そのコンテキストスイッチ的なところの脳の消耗やChatGPTを使用する、ググる時間コストはもったいないな、、という印象ですが、伝えたいことが伝わらないということが一切ないのでそこまで問題視していません。時間を無駄に失うだけです。
ニュージーランド勤務②:日本と働きやすさなどは比べてどうか?
これに関してはもっと時間が経たないと見えてこなさそうで、まだ経験している、聞いている事例が少なすぎるのでなかなか比較しにくいというのが現状です。
日本と比べて働きやすさはどうか?という観点ですが、私の場合は「別に日本でもよかった。」が今の気持ちです。というか言語問題が今はあるので日本の方が働きやすかったというのは間違い無いです。日本では3社で働きましたが、私の場合、うち2社(丸々3年くらい)は完全リモートだったのもあり、自分がもともといた環境が特殊であるのは間違いないのですが、アドレスホッパーもできていたので日本の方が自由でした。
海外に移住する人の多くには、「日本が辛い/かったからやっていけない」みたいな方が割合多いかなー、という気はしますが、私の場合はそんな感じではありません(むしろ相当恵まれていました。)。私が社会人になった頃はもう「パワハラNG」みたいな文化が浸透していたのもあり、私を拾ってくれた会社の私の周りの人たちが良すぎたこともあり、業務の押し付けや残業苦みたいなものは全く経験したことがありません。
一方、会社内の同調圧力とかそういう精神的ストレスに繋がりそうな観点だと、ニュージーランドでの今の環境は仕事中においても他人のことはそんな気にしない傾向が強いからか人間関係にストレスはほぼないと感じていて、それがニュージーランドだからだとはまだ断定はできなくて、今いる会社がそうだから、ということしか言えない感じです。どの国だろうと、結局は会社(一緒に働く人)次第だろうな、という気がしますがニュージーランドの方がストレスを受けにくい会社の割合が高いだろうな、というのは他の人の話を聞いていても思います。これは日本で働いている個人個人がストレスを与えるんだということではなくて、日本人が集団になった時に発生するあの雰囲気とか日本の文化的なところの話が起因になるかと思います。
このような感覚的なものや人から聞いた話とかを総合的に見るとニュージーランドの方がプレッシャーは感じにくいのかな、という気はします。表現間違えたらいけない難しいところなのですが、例えば、今私がいるところは日本みたいに細かい枝葉の部分とか、自分に関係しないこととかは良くも悪くも一切考慮されないとか、プロジェクトの時間軸での長期計画管理がそんななされていないとかがあるのでそれなりに自由にできる感じがします。これもまだ入ってそんな経っていないからそういえるのかもしれません。あー、でも無駄な会議が一切ないのはいいなと思っています。会議の時間もほぼ間違いなく予定より早く終わることが大半です。また、そもそも会議に参加しない人も多くいます。私も「本当に必要な時は呼ばれるだろう」と思って定期の会議は召集されていても参加していません。というか、参加したとて英語わからないからなのですが笑。
ニュージーランドに来てから同僚も含め、何人かから「ニュージーランドで働く文化に一回慣れたら他の国に行けない」と言われましたが、それは若干わかる気がしています。プレッシャーがないわけではないですが、個人の裁量で仕事を進めることができる部分が大きいので結構気楽さ(伸び伸び感)は感じています。
他には、日本ではまぁ起こり得ないだろうニュージーランドの文化(もちろん、全ての会社では無い)は好きなところが多くあります。例えば、毎週金曜の昼以降はお酒飲みながらゆったり仕事するので実質週の4日+αしかガチ業務していないとか...日本でいう飲み会も参加自由だし、挨拶なしに勝手に帰ってもなんの問題もないとか、飲み会終わるの激早いとか...この辺のニュージーランド文化はまた別で書いてみますかね〜。
ニュージーランド勤務③:ソフトウェアエンジニアとして自分の役割が少しずつ見えてきた感じがする
私の場合はソフトウェアエンジニアというポジションで働いているのですが、ソフトウェアエンジニアと言っても多岐にわたります。私の場合はWeb/モバイルアプリケーションを開発するエンジニアにあたりますがそれでもまだ抽象的です。
私がここで言っている「自分の役割」というのは、会社の中で自分がどのような位置に立って仕事をした方が自分や会社のためになるか、という意味になります。
例えば、私のようにWeb/モバイルアプリケーションを開発するエンジニアにも、新しい技術をどんどん入れていくのが得意なエンジニアや反対に古い技術でも堅牢なソフトウェアを作るエンジニア、ビジネスチームとのコミュニケーションが得意なエンジニアなど、いろんな人がいます。みなさんお分かりのとおり、最終的には顧客が喜んでくれて会社として金が稼げれば良いので、どのスキルや考え方が良いとか悪いとかはないです。チームとしてのバランスが取れていればいいんでしょう。
これに関しては国とかは関係ないのではないかと確信していますが、自分の良さや強さを活かせる場所を見つけてそこで貢献できると英語の苦労とかがあっても存在感を出せるかもしれません。私はまだちゃんとアピールできてはいないのですが「確実にこの辺は自分が強いな」というのがありそうで、今後はそれを実際にちゃんと成果として出していきたいというのがあります。この辺りの自分のポジションというのは2ヶ月くらいすればわかってきます(本来は面接時にわかるものなのですが、実態が違うことはよくありますので...)。私の場合は、如何せん英語力が足りないので会社やチームの状況を理解/インプットする量が少ないというのが時間がかかっている原因になっています。(あと自分の性格。)
ワークビザに対して
海外はどこでもそうで、そもそもビザがないとニュージーランドだろうとどこだろうと住めないんですが、正社員採用受けたとしても実際に申請するまではビザのことが心配になるかもしれません。ニュージーランドの場合は近年ルールが変わって、雇ってくれる会社の協力がより不可欠になりました。ビザの心配要素も精神的なストレスになりうるので気をつけておかなければなりません。
全ては気の持ちようと行動
幸せなことに私はすごく恵まれた環境にいることができているとは思います。私の場合は英語がとにかくネックです。おそらく同僚は私が英語をわかったふりをしているのもわかっているでしょうwそれでも新しいプロジェクトを私一人に任せてくれようとしていたり、新しい取り組みの初期メンバーに選定してくれたりとありがたいばかりです。...ということは私が今、英語ができていないのは、まぁベストではないにせよそんなに気にしなくても良いということになるでしょう。
話の内容がわからない、うまく表現できない、から来る焦りやみんなへの申し訳なさなど色々不安がある中やってきましたが、将来のために成長しようという考えが頭にあるだけでもまだマシなのだろうと考えることにしようと思います。大人しくただお金だけ毎月手に入れてそれなりに生活するだけを目標にするならこのままの英語力でも多分大丈夫だと思います。でも外国だとそれは将来が厳しいな、という感じです。
「悲観的になっていたのは私だけの可能性が高いからそこまで落ち込む必要はない、でも自分にとっての課題は英語(コミュニケーション能力)である」というのが明確にわかったこの4ヶ月でした。これから海外移住したい人はおそらくスキルがある人がほとんどだと思いますが、言語の勉強は本当にしておいた方が良いです。せっかくスキルや良い考えを持っていてもそれを伝える手段がないと悲しくなります。ぐだぐだにゆっくり話をしても毎回聞いてくれる人が会社にいるならいいですが、多分、それは期待しない方が良いです。言語の向上無くして、生活の質の向上無しです。